被扶養者の認定基準

はじめに

健康保険では、被保険者の家族が保険者(健康保険組合)から被扶養者として認定を受けることにより、病気やケガに対する保険給付のほか、保健事業による健診の補助等を受けることができます。

しかしながら、一定の収入があり、自分で生計を維持できるような扶養の対象とならない人を被扶養者にしてしまうと、保険者は支出しなくてもよい費用を負担することになり、保険料を納めている事業主や多くの被保険者に迷惑がかかるほか、ひいては健保組合の財政悪化を招くことにもなるため、被扶養者の取り扱いは公正を期することを目的として厳格に行う必要があります。

健康保険の被扶養者とは

被扶養者は、被保険者の家族であれば誰でもなれるものではなく、健康保険法や厚生労働省の通知等で示されている一定の条件を満たす必要があります。このため保険者は、それらの条件に基づき社会通念等にも照らした総合的な審査を行ったうえで、被扶養者として認定するかを決定します。

被扶養者の認定要件

被扶養者の認定を受けるためには、原則として以下の4つの条件を全て満たすことが必要となります。また、厚生労働省の通知により「被保険者からの申し立てのみによる認定は行わず、証明書類に基づき、身分関係や生計維持関係を確認のうえ認定する事」と示されており、それに該当することの証明書類を必ず添付して届け出なければなりません。

必要な証明書類

 

①主として被保険者の収入によって生計を立てていること

被扶養者となる人の年間収入が130万円未満(月額換算108,334円未満)かつ被保険者の年間収入の1/2未満であること。
※60歳以上および障害年金受給者は180万円未満(月額換算150,000円未満)

年間収入とは、扶養を必要とする時点から今後1年間の給与・年金・事業収入など生活費に充当できる全ての収入をいいます。
また、健康保険の収入基準は所得金額ではなく、税金控除前の総収入金額(賞与・通勤交通費等を含む)で判断します。自営業の方は確定申告書の総収入額から、それなしでは事業が成り立たない直接的必要経費を差し引いた残りの収入で判断します。

収入範囲 内容
給与収入 パート・アルバイト・内職の総収入額
(賞与・交通費等を含む税金控除前の総収入)
事業収入 農業・漁業・商業等、自家営業に基づく収入
不動産収入 アパート経営等、土地・家屋・駐車場等の賃貸収入
利子・配当収入 預貯金や公社債などの利子、株式の配当金
年金収入 公的年金、各種年金基金、遺族年金、障害年金、恩給等
雇用保険 失業給付金
休業補償 傷病手当金、出産手当金
その他 常態として継続性のある収入

②健康保険法で定められた親族の範囲内であること

被扶養者になれる人の範囲

 

③75歳未満であること

75歳以上の方(および障害認定を受けた65歳以上の方)は、健康保険に代わり「後期高齢者医療制度」の被保険者となります。

 

④原則、日本に住民票があること

健康保険法等の改正に伴い、令和2年4月1日より被扶養者の認定要件に「国内居住要件(原則、日本に住民票がある方)」が追加されました。住民票が日本国内にある方は原則、国内居住要件を満たすものとされます。ただし、住民票があっても日本に生活の基礎がないと判断された場合は扶養対象外となります。

また、海外居住者でも日本国内に生活の基礎があると認められる者に関しては、例外として取り扱われ、扶養認定対象となります。

【国内居住要件の例外となる方】

■ 留学をする学生
■ 外国赴任する被保険者に同行する者
■ 就労以外の目的での一時的な海外渡航者
■ 被保険者の海外赴任期間に当該被保険者との身分関係が生じた者で、海外赴任に同行する家族と同等と認められるもの
■ その他、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者

夫婦共働きの場合

夫婦共働き(双方が被保険者)で、お子様等を扶養に入れる場合は、被保険者と配偶者の収入を比較して年収が多い方の被扶養者となります。詳しくは夫婦共同扶養をご確認ください。

扶養認定日について

被扶養者の認定日は、次の通りです。
事由発生から5日以内の届出が原則ですが、やむを得ない事情で遅れた場合、当組合では下記の取り扱いを行っています。
いかなる理由でも、事由発生から1ヵ月を過ぎた届出は、出生を除き「健保受理日=認定日」となります。

① 子どもが生まれた場合  出生日
② 入社時に扶養家族がいる場合 【入社時に届出】被保険者の資格取得日と同日
【入社から1ヵ月過ぎて届出】健保受理日
③ 新たに扶養し始める場合 【事由発生日から1ヵ月以内に届出】事由発生日
【1ヵ月過ぎて届出】健保受理日

〈注意〉
・上記②③は、1ヵ月以内に全ての必要書類が揃った場合に限り、事由発生日に遡り認定します
・書類提出=認定ではありませんのでご注意ください

別居者への仕送り基準

扶養認定対象者が別居の場合、家計が同一とは言えないため、被保険者からの仕送りにより生計を維持している事実が必要になります。

●対象者の収入を上回る仕送り額である事
●被保険者の収入から仕送り額を引いても、対象者の生活費(収入+仕送り)を上回っている事
●半年に一回や賞与月にまとめて送金等ではなく、毎月継続している事

仕送りの際は、銀行や郵便局等の公的機関を利用し、日付、金額、送金人、受取人が確認できる方法で仕送りしてください。たとえ近隣に住んでいても、手渡しによる仕送りは一切認められません。
※被保険者の単身赴任や別居家族の就学・里帰り出産・入院等は一時的な別居とし、仕送りの必要はありません。

仕送りの下限額/月→50,000円(1人あたり

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被扶養者の資格再確認(年一回)

被扶養者として一度認定されたらそれで終わりではなく、認定された方が時間が経過しても継続して扶養基準を満たしているか確認する「被扶養者資格確認調査(検認)」を、法令等に基づき年一回実施しています。